因京子研究室へようこそ

学会活動

因京子 准教授 留学生センター 比較社会文化学府日本語教育講座

学会・研究

 私は、専門日本語教育学会、日本語教育学会、日本語ジェンダー学会、東アジア言語文化学会(以上の4つでは学会誌編集委員を務めています)、 韓国日本語学会、表現学会、異文化間教育学会、日本マンガ学会、九州英文学会に所属しています。正直に言いますが、 定期的に参加・活動している学会もあれば、会費を払って会誌をもらう、名ばかりの会員である学会もあります。 ここでは、私がかなり真面目に参加している学会について、主観に基づいた案内を致します。客観的な情報、詳細な情報を知りたい人は ぜひそれぞれの学会のホームページにアクセスしてください。

                   
               
                   
                 
                   

専門日本語教育学会

 特定の専門的目的を持つ学習者に対する日本語教育の方法について議論することが目的の学会で、理科系の出身の日本語教師や日本語以外の専門分野の教員が多いのが特徴の一つです。 3月に研究討論会が行われ、学会誌が年に一度発行されます。学会設立当時には大学・大学院で教えている会員が多かったため 理系諸分野の大学院留学生の文書作成技能の養成を援助することが主要なトピックとなってきましたが、決してそれだけではなく、 社会科学系の諸分野の専門を持つ人々や「観光業」「看護」・・・など実務的専門を持つ人々への教育方法も議論されています。

 私は、この学会が「専門日本語教育研究会」であった頃からこれを自分にとって最も重要な活動拠点と考えてきました。 緻密で生産的で少々辛辣な会員諸氏からは教えられることばかりで、毎年3月に行われる討論会(学会)には何を措いても参加することにしています。 2007年3月には九州では初の研究討論会が開かれ、実行委員長を務めました。九大比較社会文化学府の学生及び元学生が3名発表し、 自分が発表するとき以上に緊張しましたが、皆、本番の出来がよく、他大学の先生から「いやー、優秀な学生を持って幸せですね!」と言われ大いに気をよくしました。 しかし白状すると、誰とは言いませんが、発表の何日か前まではまともな発表ができるかどうか散々気を揉ませた人もいたのです(一人とは限らない)。 しかし、見る見るうちに発表内容が充実し、本番では堂々たる発表ぶりで、私も驚きました。やはり、泳ぎを覚えるためには、「鮫のたくさんいる海で泳いでみる」というのが最も効果的なようです。 この学会には、「生産的な鮫」がうようよ泳いでいます。これからも、私にとっても学生諸君にとっても、重要な自己研鑽の機会を提供してくれると思います。 ホームページを是非覗いてみてください。

 尚、私はこの学会で現在「学会誌編集幹事」を務めています。投稿すれば、優しく厳しく丁寧な査読が行われコメントが帰ってくるので、「落ちても得する」と言われています。 是非奮って御投稿ください。私もしなくっちゃ!(幹事が投稿してもきびしーい審査が行われることは言うまでもありません)。

会誌掲載:
「理系中級者用の専門科目型教材の素材と作業-研究活動のシミュレーションのために-」
(アプドゥハン恭子・池田隆介との共著)『専門日本語教育研究』第2号、38-45、2000年11月
「専門日本語教育の現状と将来の方向」
(村岡貴子・仁科喜久子・深尾百合子・加納千恵子との共著)第3号、15-19、2001年11月
「理系分野における留学生学位論文使用言語」
(村岡貴子・仁科喜久子・深尾百合子・大谷晋也との共著)『専門日本語教育研究』第5号,55-60、2003年12月
「農学・工学系論文『緒言』における接続表現と論理展開」
(村岡貴子・米田由喜代・大谷晋也・後藤一章・深尾百合子との共著)『専門日本語研究』第6号、41-48ページ、2004年12月
「農学系・工学系日本語論文の『緒言』の論理展開-形式段落と構成要素の観点から」
(村岡貴子、米田由喜代、仁科喜久子、深尾百合子、大谷晋也との共著)『専門日本語研究』第7号、21-28、2005年12月

日本語教育学会

 改めて紹介するまでもない、日本語教育関連の諸学会の中で最大の規模と影響力を持つ学会です。 春と秋の全国大会だけでなく北から南まであちこちで年間十指に余るほどの回数の研究集会が行われ、学会誌が年に4度発行されるなど、 会員に成果発表と自己研鑽の機会を数多く提供しています。

 私にとっても、この学会は新しいチャレンジを与えてくれる存在です。研究発表やパネル発表などをするのはもちろんですが、 2004年には仙台で行われた研究集会において講演を行いました。この時に会場から頂いたコメントや質問からは研究を進める上で大きな示唆を受けました。 仙台との御縁はこの後も続き、2006年9月には東北大学大学院で日本語の語用論的特徴とその教授法について集中講義を行う機会を頂き、 熱心な学生諸君を相手に非常に楽しく有意義な時間を過ごしました。

 もう一つ、日本語教育学会の活動で私にとって重要な自己研鑽の機会となっているのは、学会誌『日本語教育』編集委員としての活動です。 2005年からやっていますが、年4回発行というのは思った以上にすごいことでした。編集委員は一度に複数の論文の査読を担当しますが、 担当した論文について評価とコメントを提出して編集委員会に出席し、必要な再検討を行って最終的な結果を提出し、 一段落したかなーと思う頃にまた郵便受けに厚みのある封筒を発見するのです。担当した論文が「条件採用」となった場合には短期間に再査読、 再々査読を行わなければなりません。しかし、誰の論文かはわかりませんが、自分の担当した論文が一歩ずつ採用に近づいていくと、嬉しい気がします。 蓋を開けて見て「えっ、あいつのだったか!」ということもあるかもしれませんが(笑)。(投稿者が誰であるかは、当然ながら、査読者には全く知らされません。) 偏らない視点から投稿論文の内容と表現について公平な評価を出すことは、熱意をもって書かれた論文に対する当然の礼であり、何度やっても、身の引き締まる思いがします。

 実を言うと私は、日本語教育学会の年会費は「ちょっと高いなー」と思っていました。しかし、学会誌編集委員会に所属してみて、その考えを改めました。 編集委員会には研究と教育の錚々たる実践者がずらりと顔を揃えており、その方々が投稿者に丁寧なコメントを返すのです。4冊の学会誌が配布されるだけでなく、 投稿した場合にこれだけ丁寧なフィードバックを受けられるなら、あの会費は決して高くはないと思います。但し、投稿しなければこの恩恵には与ることができませんよ!

最近の掲載記事:
「種々の理系分野における学会誌使用言語事情と留学生の論文使用言語―日本語論文作成の指導のための基礎研究―」
(村岡貴子・大谷晋也・仁科喜久子・深尾百合子・米田由喜代との共著)2003年日本語教育学会秋季大会予稿集、107-112
「パネルセッション:アカデミック・ライティング教育の課題」
(二通信子・大嶋弥生・山本富美子・佐藤勢紀子との共著)2004年日本語教育学会春季大会予稿集、285-293
「農学系・工学系日本語論文『緒言』文章の論理展開パターン」
(村岡貴子・米田由喜代・大谷晋也・深尾百合子・仁科喜久子との共著)2004年日本語教育学会秋季大会予稿集、87-92
「中上級のコミュニケーションの課題と方法」
平成16年度日本語教育学会第10回研究会講演要旨、『日本語教育』125号、183頁

日本語ジェンダー学会

 「日本ジェンダー学会」という学会が別にあり、紛らわしいのですが、「日本語ジェンダー学会」は、あくまでも、「ことば」に表現される「ジェンダー」、ジェンダーのことばへの反映を研究していく学会です。 比較的新しい学会ですが、毎年一度の研究大会(通常6月)と、年一度の学会誌の発行を行っています。2006年には、この学会での研究の成果を問う論文集『日本語とジェンダー』がひつじ書房から刊行されました。 この学会は年会費を徴収しません。え、じゃ、どうやって学会誌を発行しているの?と思った方、するどい!そうなのです。この学会の学会誌は、書籍ではなくサイバー雑誌なのです。 掲載論文、掲載記事は、すべてネットで見ることもダウンロードすることもできます。何と気前のよい!是非ホームページにアクセスしてみてください。

 私にとってこの学会は、以前から興味を抱いてきた語用論的現象をジェンダーという観点から捉えなおしてみる機会を与えてくれた貴重な存在です。 日本語の大きな特徴の一つであり、また時には日本の男尊女卑の伝統のしるしのように言われることもあるジェンダー標示形式が談話の中で実に様々な機能を帯びて 使われているということが、この学会との関わりの中で見えてきたのです。詳しいことは、学会誌3号、7号、また、前述した論文集の論文などをご覧ください。 また、個人的な感慨ですが、私が九州大学文学部、及び、文学研究科の学生であった頃に論文や書籍を通して仰ぎ見る存在であった、国広哲也先生や柳父章先生に この学会でお目にかかり、あまつさえ論文にコメントして頂いたりパネリストとして一緒にお仕事をさせて頂いたりしたことは、私にとっては人生が時々くれる御褒美だと思われる経験でした。

 この学会でも現在私は学会誌編集に携わっています。どうかどしどし投稿してください。

掲載論文:
「マンガに見るジェンダー表現の機能」
『日本語とジェンダー』第3号、2003年3月
「翻訳マンガにおける女性登場人物の言葉遣い:女性ジェンダー標示形式を中心に」
『日本語とジェンダー』第7号
「談話ストラテジーとしてのジェンダー標示表現」
『日本語とジェンダー』53-72、ひつじ書房、2006年6月

ジェンダーに関連した因の論文は、

  • 『言語文化叢書XV:言語と文化のジェンダー』九州大学大学院言語文化研究院(2005)
  • 『言葉のからくり:河上誓作教授退官記念論文集』英宝社(2004)

にもあります。

東アジア言語文化学会

 北九州市立大学、九州大学、韓国の仁川市立大学の教員が集まって日本と韓国の言語と文化について研究会を行うようになったのは、 1999年11月、寒さ厳しい仁川が始まりでした。それから毎年一度、韓国側と日本側が交代で研究会を開催し、研究会誌も発行してきました。 回を重ねる中でいろいろの研究者(及びその卵)の参加を得て、対象分野も語学、語学教育、文学から経済学や社会学などに広がりましたが、 「言語」「文化」を中心に据えるという基本姿勢を崩さずに、2006年12月には中国の参加を得るに至り、名称を「東アジア言語文化学会」と改めました。

 私がこの学会に参加することになったのは、九州大学文学部英語学英文学科の大先輩にあたる北九州市立大学の山崎和夫先生を通じてのことでした。 「韓国といっしょにやってみようよ、おいしい焼肉も食べに行けるよ」「第一回目だからまだ小規模の会になると思う。研究途中の話題でもいいから気軽に発表して」 という山崎先生の言葉を本気にして訪れた仁川市立大学の会場にそれはそれは大きな横断幕がかかっているのを見た時の驚きは、今でも忘れられません。 大きな立派な会場を埋める参加者、また、滞在した2泊3日、ランチにも夕食にも仁川大学の首脳陣のどなたかがいらして下さり、徹底的に英語による社交を余儀なくされました。

 この時から月日は流れましたが、年に一度の研究会と会誌発行は途切れることなく続き、中国を含めたより大きな組織へと発展しました。 この学会を通じて私は、韓国の文化、習慣について学ぶ貴重な機会を得、当初から共に関わってきた先生方とはまるで同窓生のような友情を育むことができました。 2007年度の研究大会は九州大学で行う予定です(2008年1月頃)。地元で発表できるいい機会ですから、学生諸君も、奮って発表、投稿を行なってください。

会誌掲載論文:
「日本語の会話における丁寧さ」
(松村瑞子との共著)『韓日言語文化研究』創刊号、59-78、2000年10月
「マンガを用いた日本語教育の視点と方法」
『韓日言語文化研究』第2集、131-150、韓日言語文化研究会、2001年9月
「研究留学生を対象とする社会生活技能教育教材-専門日本語教育と並ぶもう一つの課題-」
『韓日言語文化研究』第3集、73-93、2002年12月
「日本留学試験聴読解問題の分析 -アカデミック・ジャパニーズの輪郭を求めて-」
『韓日言語文化研究』第4集、23-53、2004年2月
「マンガ読解に見る韓国人学習者の日本語理解」
『韓日言語文化研究』 第5集、2004年12月
「韓国人学習者の敬意表現についての認識」
(金瑞賢との共著)『韓日言語文化研究』第5集、103-134、2004年12月
「日本語のポライトネス-その制度的側面と語用論的側面」
『韓日言語文化研究』第6集、35-66、2005年12月
「少女マンガのくれたもの:その主題の魅力」
『韓日言語文化研究』第7集、27-48、2006年12月

韓国日本語学会

 韓国には日本研究に関する学会が数々ありましたが、政治・経済・文化・言語など、諸分野がいっしょになっていることが多かったのだそうです。 そこで、「日本語」及び「日本語教育」についての議論を深めるための学会を組織しようという目的で1999年に組織されたのがこの「韓国日本語学会」です。 会員数は400名を優に超え、ますます増加の一途を辿っているということです。春にはソウルで秋にはソウル以外の都市で大会を開催し、 学会誌を年に3回発行するという精力的な活動を展開しています。

 実は、私はこの学会のことをつい最近まで知らなかったのです。ところが、思いがけず2007年春の第15回学術発表大会に講演者として招請されるという光栄に与り、 「文化的要素を取り入れた日本語教育―真の発信力を育てるための受信力訓練の重要性―」という題目で3月31日に大邱の嶺南大学校において講演を行いました。 この機会に学会長をはじめ学会活動を支える理事の諸先生方にお目にかかったのですが、印象を一言で言うと、とにかく活気がある! 理事の先生方が、おいしい料理を平らげビールを豪快に飲み干しながら、日本語教育の現場での問題や研究上の関心について丁々発止と語り合っている姿に、感銘を受けました。 発表大会でも20本の発表が整然と行われ、質疑応答も活発でした。

 私の所属する学府には韓国出身の大学院生もいますし、韓国人対象の教授法の開発に興味を持っている大学院生もいます。私自身にとっても、文化的に共有する部分が ありながら微妙に違う前提を持っている韓国語母語話者に対してどのような提示をおこなっていくかは一大関心事です。 日本からでも研究発表、投稿ができるということですので、是非、これから仲間に入れてもらおうと思っています。

記事:
「文化的要素を取り入れた日本語教育―真の発信力を育てるための受信力訓練の重要性」
韓國日本語學會第15回学術發表大會予稿集、2007年3月,pp.I-IV

以下の学会にも所属しています:

因京子研究室

Copyright (c) 因京子研究室.All Rights Reserved.